日東工業株式会社
Nitto Industry Co.,Ltd.

 社長 小松の経営日誌

   

12年10月08日 (Monday)       尖閣諸島ー費用対効果


 尖閣諸島を巡る問題で日中関係が揺れていますね。私どもの中国子会社は大丈夫かとよく尋ねられます。大丈夫です。変わらず友好ムードの中でやっています。でも、我々のお客様である日系メーカーが、今回の事件を契機に中国ビジネスを見直すようだったら困ります。いかに我々が友好的に物を作ることが出来ても、製品の販売先が縮んでいくようだったら悪影響は避けられないからです。
 私も日本人ですから、原則としては、我が国が毅然とした態度を示すべきだと思います。しかし、政府の対応にはもう少しやり方があるのではという思いで一杯です。いったい20億出して島を買う必然性というのはあったんでしょうか?この政策の発表以来、事件は火に油を注いだ結果となり、中国側の反発もエスカレートしてしまいました。
 会社を経営する中で、金を出して投資するときは必ず費用対効果を考えます。機械設備を買ったら、それを動かすことにより毎月どれくらいの売り上げが見込め、何年で投資金額を回収できるか云々。今、無理をして金を出しても有利だと考えれば投資を実行し、そうでなければ見送ります。尖閣諸島の20億というのは何を狙った投資なんでしょう?予想された中国側の猛反発というコストを払っても、それ以上の投資効果が期待できるものだったんでしょうか?
 一方では財政赤字が声高に叫ばれている中でです。事業仕分けを徹底してやると明言した民主党政権なのです。尖閣諸島購入も一種の公共投資なのですから、その効果は何かをきちっと示すのが筋だと思います。国防のためだからしょうがないと言われるのか?それならば20億を使って新しい巡視船を作るという案もあります。そうなったら我が社の部品が搭載されたデイーゼルエンジンも使われ、なにがしかの経済効果もあります。あるいは島を監視する人を増やし、ゆるやかに実効支配を固めるという策。これも中国を刺激しないことは無いかもしれませんが、島の購入よりはその度合いはずっと小さいと思います。人への投資は雇用の増加にもなります。20億あったら何人をどれくらいの期間雇えるんだろう?
 これらの案は事例として挙げたのであって、深く考えたわけではありません。言いたいことは、尖閣諸島購入の20億については、それに見合う投資効果が私は全く考えられないということです。90兆の国家予算の中の20億は微々たるもんだからそこまで考えなくていいよということでしょうか。でも、私の会社経営にあっての20億はべらぼうな額です。今、20億もらえれば、中国に最新鋭の機械設備を投資して中国ビジネスを拡大させます。投資額に見合う付加価値や利益が実現できるようなシナリオを描きます。
 もちろん、国の投資というのは金銭面だけではなく、前述の国防面とか、安全、安心、福祉、さまざまな角度から効果があるかどうかを測られるものなので、一概に企業の費用対効果と重ねるのは妥当ではないことは理解しています。実は、私の知りえないところで民主党政権の熟慮があり、後日、この20億の投資はやっぱりやるべきものだったと納得できる、なにがしかの効果が出てくるのかもしれません。私の批判は間違えであっったことを望みます。そして、再び安心して中国ビジネスを拡大できる時が早く来ることを。