日東工業株式会社
Nitto Industry Co.,Ltd.

 社長 小松の経営日誌

   

13年08月25日 (Sunday)       ヤバい言葉づかい


 若い頃、付き合っていた女性がいました。食事に誘い、選択肢をいくつか挙げ、どこに行こうかと問うと、彼女はよくこのように答えました。 ”イタメシでいいわ。”
 レストランに行き、まず何を飲むかと問うと、彼女はこう答えました。 ”ビールでいいわ。”
 彼女にはとても楽しい時間を過ごさせてもらったのですが、どうもこの言葉遣いが気になりました。あるとき私は指摘しました。 ”ビールでいいわ、じゃなくて、ビールがいいわ、だろ。” 彼女はちょっと驚いたものの、反発はなく、私の指摘の意味をよく理解していました。
 ”お父さんからもよく言われるの。ついついそういう言い方をしてしまうのよね。” 彼女は答えてくれました。助詞一文字、 ”で” と ”が” だけの違いですが、それがポシテイブな姿勢かネガテイブな姿勢かという印象で、そして相手に与える好感度で、大きな差異を作り出していると思いませんか。でも、彼女はそういう風に私が感じるという意識は全くなかったし、私と居ることに退屈だという意思表示でもなかったのです。理由は単なる癖。そういう言い方が惰性になっていたというだけです。
 そして何十年か経た今。悪気は無いのだが、相手に不快感を与えてしまう物言いをちょくちょくしている自分に気づきます。年取って老獪になった分、敢えて穏やかに相手に不快感を与えるという技(?)を使うときもあります。だが、今回言いたいのはそういうことではなく、単なる癖、惰性で言葉が出てしまい、あー!まずい言い方だったなあ、と後悔する場合です。
 食事の例ばかりで恐縮ですが、先日、居酒屋で一杯飲み、締めのご飯を食べようと思い、定番のじゃこメシを頼みました。店のご主人曰く、”今日は売切れちゃったんだ。その代わりカヤクご飯を作ったからどうですか?” 私、”それじゃあカヤクご飯でいいや。”
 出てしまいましたね。悪気は無いのだが、ヤバい言葉づかいが。昔、彼女に指摘して、自分でも実行しなければいけないのに。主人の心には、頼んだものが売切れた申し訳無さと、でもカヤクめしも結構自信あるんだぞ、という気持ちがあるはずです。ならばここは、”おー、カヤクご飯、いいね。それもらう。”ぐらいは呼応するべきでした。(たとえジャコめしが無くてがっかりしたとしても。そう言ったからといって勘定が高くなることはありません。)そうしたら臨時レシピの成功に気をよくした店主は、次回来店時にうまい裏メニューを出してくれるかもしれない。
 上記、 ”で” と ”が” の区別以外にも、何十年も生きて来た過程では、自分で意識していない言葉遣いの癖がいろいろ出来ているのでしょうね。そしてその中には好ましからざるものも結構あり、特に大きな問題が起こらなかったから大目に見られたものの、実は小さい不快感は幾度となく相手に与えていたという事実はきっとあるのでしょう。だんだん頑固になり、指摘してくれる人も少なくなる私の年代です。一度意識して、自分の物言いの癖を見直してみるのもいいかと思います。
 ちなみに、冒頭に登場した彼女は、その後長きに渡り一緒に暮らすこととなり、些事の指摘のし合いは今なお続いています。